新年あけましておめでとうございます。今年も良い感じによろしくお願いします。
早速ですが、昨日の「2012年の映画ベスト10」に続き、「2012年に読んだ本ベスト4」を発表したいと思います。
例年「読んだ本のベスト10」を発表していましたが、今年は比較的古い本を読み漁ったことと通勤時間にスマホでゲームばっかりやってたのでベスト10を選べなかったんです。。。
ちなみに、今年読んだ比較的古い本で言えば、『童話物語』と『星を継ぐもの』の2冊はヤバい。
これは、僕の人生においても重要な出会いだったと思っています。
ま、僕の生涯ベスト小説とすら思っている『童話物語』については、オススメした友人や知人へのウケはいまひとつですが。。。
さて、それではボチボチ、今年読んだ本の中から特別グッときた「4冊」を紹介したいと思います。
ここ数日他のブログでも「2012年に読んだ本の中からオススメの○冊」みたいな記事が掲載されていますが、そういうブログの中で鉄板の本である『リーン・スタートアップ』とか『ワーク・シフト』とか『MAKERS』は紹介しておりません。
どちらかと言えば「具体的に人生の役に立つわけではない本」かもしれませんが、ご参考になれば幸いです!
第4位 『ドーン』平野啓一郎
ストーリー自体は必要以上に複雑でわかりにくい部分があったし、文章そのものも読み難いところがある作品だったんだけど、作中のある人物の演説が非常に心に残る一冊。
あなたたちが、これまで一体、何を生み出したのかと。 ー 635ページ
これは本当にガツンと来る一文でした。
最近は情報に触れる時、それがどんな類の情報にせよ「関連するTwitterのつぶやき」とか「コメント」といった二次情報もセットで目にすることが多い。
そして、そういう二次情報って、だいたいが「よくわからない目線からシニカルに見下した文章」だったりするもので。
そういう視点で発言することって、「楽」で「気持ちいい」ことなのは間違いないし、僕もそうなってることがあるんだけど、それって世界一ダサいことなんじゃないかってことに気付かされた一文でした。
他にもグッと来る言葉が多い作品でしたが、この一文は今年出会った文章の中でも一番ガツンと来た!
これからも、「熱意」でもって「何かを生み出せる人間」を目指したいもんです。
ドーン (講談社文庫) 平野 啓一郎 講談社 |
第3位 『ジグβは神ですか』森博嗣
正直どんな内容だったとしても僕にとっては今年のベスト小説に選抜せざるを得ない作品。
なんてったって森博嗣のGシリーズが再開したわけですから!!
単体でみた場合、決して満足のいく作品だったとは言い難いんですが、やはり森博嗣の文体に触れることは幸せで。
そして、“あの人物”の再登場と、それに伴い物語が動き始めた感に胸が高鳴らないわけがない。
何より、“あいつら”との再会は喜びであり、幸せでした!
このまま定期的にシリーズを継続していただきたいものですが、再開までに時間が開きすぎたこともあって過去作の大部分を忘れているのも事実。
S&MシリーズをKindle版を再読することを決心しました。
2013年は、再び森博嗣ワールドにどっぷりと浸かりたいと思います。
ジグβは神ですか (講談社ノベルス) 森 博嗣 講談社 |
第2位 『天地明察』冲方丁
普段はあまり読まない時代小説でしたが、これは本当にアツかった。
昨年はKindleが日本上陸して、僕は「人柱」覚悟ですぐに購入したんですが、Kindleストアのオープン時にセールされていたのが本作でした。
Kindle発売&電子版のセールが無ければ手にすることもなかったであろう作品だったわけですが、今となっては「この本との出会いのキッカケをくれたというだけでもKindleを買ってよかった!」とすら思っています。
まずは、渋川春海や関孝和といった中学の社会科レベルの日本史には登場しない天才を知ったことが大きな収穫。
そして何より、「改暦」という強大なラスボスに対し、幾度の挫折と仲間の想いを力に変えて挑んでいく男の姿にシビれまくりました。
僕の読書傾向はミステリーに偏りがちなんですが、普段読まない作家、普段読まないジャンルの本を読むことが、新たな感動との出会いになるという良い見本。
今年もいろんな種類の本を読みたい!と思わせてくれる一冊でした。
天地明察(上) (角川文庫) 冲方 丁 角川書店(角川グループパブリッシング) |
第1位 『私が、生きる肌』ティエリー・ジョンケ
文庫で200ページ弱と非常に薄い本ながら、その中身は濃厚。
映画版に合わせた表紙も、アントニオ・バンデラスのギトギトした顔が印象的で、これまた非常に濃厚です。
叙述トリック的なミステリーを大筋としながら、『ムカデ人間』級のマッド・サイエンティスト物としても秀逸。
全編を通しての猟奇性と、背徳感ゆえの耽美小説としても傑作。
いや〜、紀元前から美的な“拷問”を磨き続けているヨーロッパ人の「変態」っぷりはスゴいっす!
よくもまあここまで要素を詰め込んだな〜と思う内容ながら、それをこのページ数でコンパクトに収めたのも見事。
映画版も非常に美しい仕上がりでしたが、作品そのものが持つ文学性、叙述トリック的な要素もばっちりとハマる「小説版」こそが至高!
冒頭で「今年はベスト10を選出できなかった」という旨を書きましたが、その最大の原因は『私が、生きる肌』があまりに圧倒的すぎたからかもしれません。
まさに「完璧」としか言いようのない傑作でした!!!
私が、生きる肌〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 ティエリー・ジョンケ,平岡 敦 早川書房 |
総評
というわけで、今年のベスト本は『私が、生きる肌』。
この一冊があまりにもすごすぎて、他の本の記憶がやや薄まってしまっているくらいです。
ただ、僕個人の読書体験的には、2012年はやや不毛の年だったかもしれません。
2010年の「米澤穂信」、2011年の「沼田まほかる」のように、「今年はこの人!」と思えるような作家との出会いもイマイチ思いつきません。
それもこれも、2012年はあまり本を読まなかったってことが大きいんでしょう。
Kindleも買ったことだし、今年は昨年以上に本を読み漁りたいな〜と思うのでした。
それでは皆さん。
今年もよろしくお願いします!!